職人の思い入れ

工芸品などの漆製品全体の需要は明らかに減っている。
日本人自体が日本の良いものを使わなくなって来ている。

多くの職人は、新たな販路の開拓などは職人のする事ではない。
これまで培って来たものを大切に守って行くだけだ。
そう思っている場合がある。

松田氏が今これから手がけて行こうとしている「建材への漆の活用」は、
そんな職人の人たちにはなかなか理解しがたいものである。

「大事な漆をペンキなどの塗料と同じ様に扱うなんて!」と怒り心頭である。

ちょっと待ってほしい。
昔から、今も日本では社寺仏閣に見られる様に、たとえば鳥居の朱塗りや、お寺の床や壁なども漆で塗られている。昔から漆は建材にも施されていたのだ。

漆には、ブドウ球菌を死滅させるような殺菌効果もある。防水効果や防腐効果もあり、天然塗料では誰にも負けないスーパーマン(死語?)だ。

日本人が忘れかけている日本のすばらしい「漆」を再認識してもらう為にも、
周囲の反発をうけたり風当たりの強い中、あえて率先して走り回っている。
また、伝統を守る為にはそれを担っている職人たちの食いぶちをも確保して行かなければいけない。
需要が減って来ている中、新しい販路を見つけることは必須だと思う。

幸い欧米かぶれしていた日本人が最近少しは和風を見直している傾向があるので、このままもっと日本を大切にする気持ちが育って行くといいなと思う。

漆製品を生み出す為には、単に漆を塗る職人だけではなく、下地を整える職人、または、その職人が使う道具を作る職人もいる。
全ての職人が日本の伝統を後世に伝えて行ける様に最低限の需要を生み出せる様な世の中にできればしたい。

時間がかかるかもしれない。

でも、できれば暖かく見守り応援してほしい。

お願いします。

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松田氏の「松田 漆企画
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自給率の問題

現在日本で塗り物などに消費される漆の99%以上は中国から輸入しているそうです。
ごまもそうですが、国内で生産しても食べていけないために国内生産量が限りなく減少して、価格が高騰しているため、結局輸入物が主流になるのです。

いくら国民が日本産を大事にしたいと思っても、一部の富裕層ならともかく、明日の糧も危ぶまれる一庶民にとっては、内容が大きく変わらなければ、安価な外国産を選ぶという選択肢しかありません。

国産の保護は個人の意識レベルで行っても、これだけの経済危機の中で浸透するはずもありません。

国際化という言葉が何十年前にもてはやされ、最近では独自性などが注目されますが、日本という国の大事な事が庶民の知らないうちに無くなっていくのは、残念に思います。

様々な技術が発達し国際化が進んでも、実は一庶民の暮らしぶりはそれほど良くなっていないのでは?と思います。

話はそれますが、例えば、
電化製品が発達し家事は楽になり、余暇ができるかもと思わせる一方で、家事を担っていた女性が外で働かないと家計が成り立たない様になって、結局はあくせく時間に追われるのが現実です。

そして消費電力も増加し、電力供給を補うために原子力に頼るという。

ちょっと話がそれすぎましたが、
伝統を見捨て外国かぶれしてこのままでは日本が駄目になるのではという不安があります。

国民意識レベルでは「焼け石に水」ぐらいまで悪い経済環境がしみついていると思うので、国家レベルで何か対策をお願いしたいです。

私には、漆を植栽したりごまを栽培したりする事はなかなかできませんが、
そういった人たちが食べていける様な環境づくりに貢献できる様、
「焼け石に水」でも、自分にできる事はなんとか実行していきたいと思っています。
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塗師 松田恭幸氏が知事賞、経済産業局長賞ほか各賞受賞

文化・学術団体、経済団体、NPO、京都府等で構成される、「京都文化ベンチャーコンペティション実行委員会」が主催の、京都文化ベンチャーコンペティションの最終審査が3/1にルビノ京都堀川で行われました。

そこで、漆塗り家庭祭壇の生みの親「松田恭幸氏」が最優秀賞(知事賞、他各賞)を受賞されました。

なんでも、現代の建築に伝統的な漆塗りを取り入れたビジネスモデルという内容だそうで、実際に住まわれている現代建築に取り入れた、全面漆塗りの引き戸を例にしたとのこと。

わたしもその漆塗りの戸のある住まいは何度も伺った事があり、家全体はとても近代的な建築ですが、その漆塗りのひき戸の向こう側は和室となっていて、でも洋室から見てもなんの違和感も無く、それでいて存在感があり、とても素敵です。

具体的にはどんな賞を受賞されたのか、細々聞けていません。
今後、その団体からどんな支援を受けられるのかとか、どんな風になっていくのか、期待と不安が入り交じった状態です。(わたしが舞い上がってどうする!?)

とにかく切実に、
伝統工芸を廃れさせないための小さな芽を、誰からもつぶされないように、また大きく育っていけるように、できる限り応援し、理解してもらいたいと思います。
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伝統産業のこだわり道具入手困難に

9/24の京都新聞に気になる記事がありました。

職人が使うこだわりの道具類も、その道具を作る職人がいるわけですが、道具を作る職人自体が高齢化のため減っているそうです。

また、京仏壇・京仏具の漆塗りで研ぎに使う「駿河炭」という特殊な炭は在庫はあっても原木を切る人がいなくなって入手困難となり、螺鈿の材料となる「夜光貝」なども良質な品が減っているそうです。

(そうなんですか?→松田氏)

国際化社会で世界に目を向けるのも良い事でしょうが、なんとかして日本人の心に響く、日本の美しい伝統産業を守りたいものです。
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宗教の壁

漆塗り家庭祭壇を扱う様になって考えます。

私は特に何かを信仰してるわけではないのですが、宗教を否定するわけでもないです。
仏壇を手がけている人が、カトリックの家庭祭壇を作って売り出すということは、並大抵のことではなかったのじゃないかなと思います。

仏教を信仰する家庭なら、「キリスト教なんてそんな外国の宗教はとんでもない!」みたいに反対されるでしょうし、取引先との関係にも波風たったのではないかと思います。

日本人は仏教でもいろんな宗派に分かれていますし、比較的他の宗教を受け入れやすい文化なのかなとも思います。

どんな宗教もその教えは大概よい教訓となり、生活の知恵となると思いますので、信仰することはすばらしいことだと思います。

ただ、他の宗教をけなしたり馬鹿にしたり否定したりすることはなるべくやめてほしい物です。宗教の違いが原因で今も昔も多くの人が戦争に巻き込まれて死んでいるのですから。

他人の信仰する心を認めてあげてほしいです。
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漆いちばん最初

高校時代、漆芸科の人がかぶれてかゆそうだったので、「漆=かぶれる」のイメージでした。
その頃は「伝統」など全く興味なく、和風なものはつまらないと思っていました。
たまたま友人の漆職人が立案した作品がきっかけで、漆について調べたところ、大変すばらしい「素材」という事を知りました。
和の美に向き合ってそれを知る事から始めようと思います。


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