AIが進化しても残る「設計」と「伝える力」

生成AIはここ数年で一気に加速し、文章・画像・動画・コード──
あらゆるものが「数秒で作れる」時代になりました。

しかし、そのスピードと便利さとは裏腹に、
どれだけAIが賢くなっても、AIだけでは埋められない領域があります。

それが、「設計」と「伝える力」です。
この2つは、人とAIが共存するこれからの時代でも、主導権を握り続ける部分になります。


「設計」は“道筋を決める”人の仕事

ホームページ制作でも、文章作成でも、
一番最初に必要なのは「目的」と「設計」です。

誰に向けて発信するのか。
どんな悩みを抱えた人が読むのか。
何を伝えたいのか。
どんな行動をしてほしいのか。
どの順番で見せるべきか。

これらはAIには決められません。
AIは答えを“提案”することはできますが、
どれを採用し、どう組み立てるかは人間の判断です。

設計とは「道筋を決めること」。
AIはその道筋に沿って動く“エンジン”でしかありません。


AIは素材を作れるが、ストーリーは作れない

文章や画像、動画といった“素材”は、AIが驚くほどのスピードで生成します。
しかし、素材をどう組み合わせて「ひとつの伝わる流れ」にするかは別問題です。

ストーリーを組み立てるには、読み手の視点を想像する力が必要になります。

・どこでつまずくのか
・どこで感情が動くのか
・どこで説明を深め、どこで簡潔にするのか
・読み手が“次に知りたいこと”を先回りして提示できるか

こうした構成力は、現場経験や人間の文脈理解に基づくもの。
AIだけではまだ到達できません。


情報の取捨選択は、AIが最も苦手とする領域

AIは“もっともらしい情報”を大量に吐き出すのが得意です。
しかし、必要なものと不要なものを区別する力は、人間ほど精密ではありません。

・言い過ぎる
・脱線する
・重要度の差がつかない
・誤情報を混ぜる

最終的に「何を残し、何を削るか」を選ぶのは、人間の判断。
ここもAIには任せきれない部分です。


「伝える力」は“相手を想像する力”から生まれる

伝えるという行為には、文章力やデザイン力以上の意味があります。
相手の理解度・背景・気持ちを思い浮かべながら、形を選んでいく力です。

声のトーン、言葉の柔らかさ、一言の温度、説明の深さや省略の度合い──。
これらはすべて「相手をイメージして成立する」もの。
AIは相手を知らないため、ここに踏み込むことができません。

AIは平均的で無難な答えを返すのが得意ですが、
ときには“時代の流れに逆らう視点”や、
普通の人が思いつかないような発想が必要になる場面もあります。
そうした“尖った答え”は、やはり人の経験や感性からしか生まれません。


AI時代に求められるのは「舵取り」

AIがどれだけ進化しても、人間が担うべき本質は変わりません。
それは、方向性を決める「設計」と、
相手に届くように磨き上げる「伝える力」です。

AIは作業を速くし、選択肢を広げてくれる最高のツールです。
ですが、舵を取るのは人間です。
AIが進む“方向”を示すのは、これからも私たちの役割です。


まとめ

便利になればなるほど、
最後に残るのは“人の判断”と“人らしい感性”。

AIは素材を作り、
人が物語を作る。

AIは道具であり、
舵を握るのは、これからもずっと人間です。

この記事を書いた人

平 真美