事例の概要
あるクライアントサイトで、
WordPressのバックアップから復元しようとしたものの、
サイトが元の状態に戻らないという相談がありました。
バックアップデータ自体は存在しており、
一般的な手順(phpMyAdmin を用いたデータベースインポート)も
試されていました。
それでも復元は進まず、
原因の切り分けから対応を行うことになりました。
確認した環境
- 小規模事業者のWebサイト
- 共有サーバーを利用
- 記事・投稿数が多く、データベースサイズが大きい
- バックアップは一括の
.sqlファイル
特別な構成ではなく、
現在も多く見られる一般的な環境です。

初期切り分けの観点
復元後の表示や挙動を追う前に、
復元処理が実際にどこまで進んでいるかを確認しました。
具体的には、
- バックアップデータがサーバー側で受け付けられているか
- データベースにテーブルが作成されているか
- インポート完了の表示やログが存在するか
という点を順に確認しています。
実際に起きていたこと
確認の結果、次の状態が分かりました。
- バックアップデータは
アップロード制限により受け付けられていなかった - そのため、インポート処理は開始されていない
- データベースには復元対象のテーブルが存在しない
「復元に失敗している」のではなく、
復元処理が成立していない段階で止まっていた状態でした。
分割インポートの検討と結果
データサイズが大きかったため、
バックアップデータを分割してインポートする方法も検討・試行しました。
しかし、
- SQL構文の途中で分割される
- テーブル間の依存関係が崩れる
といった問題があり、
分割インポートでも正常な復元には至りませんでした。
このケースで重要だった判断点
この事例で重要だったのは、
- 復元後の挙動を追い続けなかったこと
- WordPress本体や設定の問題と決め打ちしなかったこと
- インポート処理が成立していない事実を先に確定させたこと
です。
処理が開始されていない以上、
設定変更やコード修正を行っても状況は変わりません。

復元が成立しない場合に検討される対応選択肢
WordPressの管理画面や、
標準的なバックアップ/インポート手段で復元が成立しない場合、
次のような対応ルートが検討対象になります。
1. データベースへの直接インポート(方法の変更)
- phpMyAdmin 以外の方法で SQL を投入する
- ブラウザ経由ではなく、サーバー側処理を前提とする
- アップロード制限や実行時間制限の影響を受けにくい方法を選択する
2. バックアップデータの再構成・再生成
- 一括バックアップが扱えない場合
- DBのみ、またはテーブル単位で再生成できるかを確認する
- 使用していたバックアップ方式に依存するケースもある
3. 復元用の一時環境を用意する
- 現在のサーバー環境では処理が成立しない場合
- 処理可能な環境で一度復元を完了させる
- 復元後のデータを移行対象として扱う
4. データベース内容の限定復元
- 全件復元が不要な場合
- 投稿・固定ページ・ユーザー情報など
必要なテーブルのみを対象にする - 完全復元ではなく、業務継続を優先する判断
5. 復元方針そのものの見直し
- 現在の環境・制約条件で、その復元方式が成立するかを再評価する
- WordPressの問題として追い続けない
- サーバー制限とデータ構造を前提に、方針を切り替える
専門業者への依頼を検討する判断点
ここまで挙げた対応は、
作業そのものよりも 切り分けと判断の正確さが求められます。
- 今の環境でどこまで可能か
- 方法を変えるべきか、環境を変えるべきか
- どの段階で手を止めるべきか
これらの判断を誤ると、
試行を重ねるほど状況が複雑になることがあります。
そのため、
- 管理画面や標準手段で復元が進まない
- データサイズや環境制限が絡んでいる
- 次に取るべき選択肢の判断がつかない
こうした段階に入った場合は、
切り分けと方針決定を含めて、専門の業者に依頼する
という選択肢も現実的です。
ホームページトラブルサポートについて
ホームページトラブルサポートでは、
- 復元が成立しない原因の切り分け
- 現在の環境条件で検討可能な対応ルートの整理
- 継続対応すべきか、方針を切り替えるべきかの判断
といった段階から対応しています。
「このまま進めてよいのか分からない」
という時点での相談にも対応しています。
